令和6年10月
お取引先 各位
日本製網工業組合
理事長 諏訪部 俊彦
拝啓 貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、ご高承の通り、昨年11月に公正取引委員会等による「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が作成されました。加えて、今年11月以降、下請法上の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は行政指導の対象となることが決まりました。
日本製網工業組合の組合員各社は、これまでも原材料費等の高騰に伴い、各社でぎりぎりのコスト削減に努めた上で、お客様に価格反映のご協力をお願いしてまいりました。一方、現時点では労務費の上昇を補う価格転嫁までには及んでいないのが実情です。
製網業界はこれまで諸物価高騰に対し、自助努力によりコスト削減に努めてまいりましたが限界を超えているのが現状です。当組合の加入企業数は、ピーク時の381社から現在は48社まで減少しました。低価格市場での経営を余儀なくされ、価格改定しなければ今後も減少が続くことを危惧しております。
価格改定のお願いに至った要因は、今後諸物価高騰が見込まれ総合的なコスト上昇が避けられない状況にあります。製網業全般は衰退により、関連企業の撤退、廃業、倒産から、供給不足をカバーする外注コスト、自助努力では穴埋めできない物流、産業廃棄物処理他の価格上昇といった局面を迎えています。加えて、昨今の円安の影響で原材料を輸入に頼る石油製品、部品消耗品の急激な高騰、低賃金が定着し他の産業への人材流出と、新規採用が困難な状況打破のための条件改善、政府が掲げる賃上げによる労務費上昇を視野に入れた場合、経営危機に陥りかねません。
さらに、製網現場に無くてはならない網仕立て業界の工賃改定も大きな要因です。当組合企業が構える独自の仕立て専門会社や部門、当組合に属さない仕立て専門会社ともに、低価格工賃による製網業界の後継者不足や、生産能力の減少問題に直面しており、工賃の大幅な改定は喫緊の課題となっております。
これらの諸事情をご賢察いただき、労務費等の価格反映に関するお願いにつきまして、改めてのご検討とご高配を賜ります様何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具